渡邊建築工房 株式会社

島根県大田市の建築設計事務所

建築家展

週末に開催されていたArchitects Studio Japan主催の第33回「建築家展」を見学させてもらいました。

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県内だけでなく、鳥取、岡山、広島からも建築家の参加があり、沢山の模型や図面、写真がパネルでズラッと展示してありました。リノベに強い方やデザインに優れている方、様々な建築家さんがいて、会場を見て回るだけで面白い、、勉強になる、、、と終始わくわくしながら楽しませてもらいました。

 

その中で、今後建物の性能もきちんと考えていかないといけない!とデザインだけでなく性能と向き合う姿勢を見せている方もおられ、とてもいいことだなぁと感じました。

 

全国的に活躍する建築家さんのなかでも、建物性能を十分に検討して設計に活かしている方が増えてきています。高性能化することでそういった方々のやりたいことができなくなることはほとんどないと思います。(イニシャルのコストアップは生じますが、トータルで考えるとお得)むしろ、高性能化することでエアコンの数も少なくてすみますし、生活空間の質も上がるはずです。

高断熱高気密が当たり前になるまでは設計者や工務店がしっかり理解して建主に説明していくことが重要なのですが、まだまだ県内建築業界はそのあたり弱いように感じています。

お隣の鳥取県では「NE-ST」とっとり健康省エネ住宅という制度を作り、鳥取独自に作った基準に沿った住宅には手厚い補助をしていますし、県が主導してそのあたりの技術指導、見学会を開催してボトムアップに動いているようです。うらやましい。

残念ながら島根にこれに準ずる制度は今のところありませんが、後押しがなくてもこつこつと頑張っていくしかないですね。

 

電気代があがってます。

我が家は断熱も気密もされていない古い家で住む範囲を区切ったり、内窓、断熱障子、スタイロ+置き畳、畳の下の断熱補強でなんとかエアコンの効く空間を作ってきました。

 

帰ってきて寒い、朝起きて寒い、その状態からスタートするのが嫌なので24時間エアコンかけているのですが、いよいよ電気代がバカにならないことに、、、

 

昨年9月 13,000円(490kwh)

今年9月 20,000円(535kwh)

         差   7,000円(  45kwh)

使用量にも差がありますが、電気代のあがり方がすごいです。

昨年の時点では 26.5円/kwh ですが、

今年は 37.4円/kwh なので、

1.4倍に、、、

 

エアコンをつけなくても良い日が多く、比較的電気使用量の少ない10月では、

昨年10月 11,500円(431kwh)

今年10月 17,000円(457kwh)

           差   5,500円(  26kwh)

 

26.7円/kwh→37.2円/kwh

同じように1.4倍。

 

我が家は一月の使用量が一番多く、今年の一月の使用量は980kwhで24,500円。

とすると、来年の一月は 34,300円、、、

一万円近いコストアップ。

 

あらゆるものが値上がりし、気づいたら大変なことに。なんてことが起こり得る値上げ幅です。

 

電気代だけでもこのままいくと、年間10万円くらいのコストアップになりそうです。もちろん寒い家には住みたくないので値上げ分を浮かそうとして空調をやめるわけにはいきません。

 

電気使用量の少ない建物を考える重要性が一気に増してきているのを実感します。

夏は日を避けつつ、冬は積極的に太陽光を取り入れていきたいです。

週末は見学会

週末の見学会に向けて一部の外構と、内部の仕上げを残すだけとなりました。なんとか間に合いそうです。

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明日明後日は天気が悪そうですが、週末は良い天気となりそうです。当日が雨の日じゃなくて一安心できそう。

 

毎年の国際パッシブハウスオープンデーもそうですが、この時期は気温が高くて建物性能を体感しにくいのが難点。各室温の安定と南面からの日射取得は体感いただけるかと思います。

もちろん建物の静穏性も。

https://passivehouse-japan.org/event/15192/

例年、気温が高くて建物巡りをすると汗をかくくらい。四国は特に物件が豊富なのでたくさんみて回るときは暑いです。

 

週末の、29日、30日は天気を気にすることなく見学会へお越しいただければ幸いです。

 

村野藤吾

広島に出たので、10年以上ぶりに村野藤吾設計の世界平和記念聖堂へ。

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仕上げの粗々しさが随所に見られ、それがとても綺麗にまとまっているような。

10年前とはまた違った視点で建物を眺められているような感覚。

 

まわりの保育園で運動会?をしていたのでとても賑やかでしたが、子供の声が聞こえてくると建物が生きているよう感覚になりいい雰囲気。

以前は建物を案内してくれる方がたまたまいらっしゃってフライングバットレスの話などしてくれましたが、今回は眺めるだけ。

 

定期的に通いたい建築の一つです。

内窓

開口部の改修において予算の都合や、建物を壊したくない場合には「内窓」の設置を検討します。

各サッシメーカーから内窓が出ています。

ykkapはプラマードu

lixilはインプラス

三協アルミはプラメイク

ウッドワンからは木製内窓のmoku

 

カタログを眺めていると、プラマードuの中に、「Low-E複層、ガス入、樹脂スペーサー」との表記が!

数年前はアルミスペーサーしかなく、樹脂スペーサーは選択できませんでした。

樹脂窓のAPW330でもオプション扱いで、図面に表記してないとアルミスペーサーにされます。大した金額の違いじゃないので、標準で樹脂スペーサーにして欲しいくらいなのですが。

しかし、内窓にそもそもなかった選択肢が増えるのは良いことだと思います。

f:id:w-kenchikukoubou:20221021223343j:image(プラマードuカタログより)

ガラスとガラスの間にあるスペーサーがアルミ製なのか樹脂製なのかで窓の断熱性能に変化が出ます。当然、樹脂スペーサーの方が性能が高いので樹脂スペーサーを選んだ方がいいですね。カタログにはわざわざアルミに変更できます!と書いてありましたが、わざわざ変えることにメリットがあるのか?

 

また、Low-E金属膜を外側か内側かでも遮熱用と断熱用というタイプに分かれます。

f:id:w-kenchikukoubou:20221021224240j:image(プラマードuカタログより)

遮熱用は日射取得率が低く、断熱用は高いです。敷地によって日の当たり方も違いますので一概には言えませんが、冬太陽がガンガン当たるような南面は断熱タイプで日射を取り入れたいですし、そのほかはしっかり遮熱したいですね。夏はちゃんと簾をかけれる方は良いですが、簾をかけるのが面倒だ!という方は全部遮熱タイプという選択もありかもしれません。

 

建築のプロではないお客さんに判断を任せるのは酷なので、きちんと判断できる人、しっかりアドバイスできる人が増えればいいなと思います。

 

リノベーション時に、既存サッシと新規内窓の間にブラインドを入れる「中間層ブラインド」を取り入れてみました。

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日射遮蔽はサッシの外側で行う方が効率が良いので、一般的な室内側にブラインドではなく、内窓の外側(サッシとサッシの間)にブラインドを取り付けて少しでも遮蔽力を上げようと取り入れました。外側のサッシの外側(つまり外)で日射遮蔽を行うのが一番なのですが、できない場合にはこんなことも考えます。

 

かなり重要な日射遮蔽。方法も一つではないので設計者なりの工夫があって面白いところです。

 

 

格子

格子って面白い。

格子の巾、奥行、大きさによってイメージがかわるし、使う場所によって用途もかわる。

 

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床のガラリ

基礎断熱における床下空気循環のためのスリット。窓辺に設置することで上昇気流を生み出し、循環を促す。

これは空気が通ることが重要。その次に足が落ちないとか、物が落ちないとか。

二番目を優先しすぎると一番大事な空気が動かなくなる。この住宅においてこのガラリは床下からの排気用として何箇所か設置、押入れの中に給気用の大きな開口が別にあります。

 

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下屋根に設置した大きな格子。

光を制御しながら、風も通したい。

西日対策で奥行きを比較的大きくとっています。道路を移動しながら格子の裏を見ることはできないので安心して洗濯物も干せる。

施主様と一緒に考えて大きさを決めた例。

 

外壁と色を変えてあげることでアクセントとして建物が引き締まって見える。

格子とても好きです。

しかし、掃除は大変ですね。一長一短。

 

天井ベニヤの目透かし

鳥井町の住宅も天井が張り上がってきました。

クロス仕上げの部分は先行して天井が仕上がっていましたが、シナベニヤの天井もいよいよ。

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大工さんに、「手垢がつくのでベニヤ貼りの作業は手袋着用でお願いしますね!」と声を掛けたところ、「新しい手袋準備してます!」と頼もしい声がかえってきました!

ベニヤ板自体が仕上げになるので作業中は問題なくても、手の脂や汗が何年後かに手跡の形で出てきたりなんてことも、、、

今回の現場ではベニヤ板同士をピタッと張り合わせる「突き付け」ではなく、3mm程度離した「目透かし」としています。綺麗にラインが通るので気持ちいいのです。

どこに目地をもってくるかを図面に表現をしますが、現場では照明器具があったりちょっとした位置変更があるので大工さんと相談の上位置決めをします。

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照明器具の中心に目地をもっていきたいので、電気屋さんと大工さんと調整。天井も低いので余計に気を使います!

 

年数とともにベニヤの色は少しずつ変化をしていくので、ビニルクロスにはない味わいが出てくる。そんなところが気に入っています。