渡邊建築工房 株式会社

島根県大田市の建築設計事務所

暖房室と非暖房室

10月も中旬となり、だんだんと冷えてきました。晴れた日中は暖房せずとも暖かいけれど夜や朝方は暖房が必要な気温になってきて、暖房をつけるか、着込むか、あるいは寒さを我慢するか。

一般的な住宅では風呂上がり(もしくは入る前)やトイレの際に寒さを感じはじめる時期でもありますね。

風呂やトイレは空調のない「非暖房室」なので空調のある「暖房室」にくらべ室温が低いです。10月だとまだ感じにくいかもしれませんが、外気温のがもっと下がれば暖房室と非暖房室の温度差はより大きくなり寒さを感じます。温度差が大きくなると「ヒートショック」を起こしやすくなります。温度の急激な変化で血圧が上下に大きく変動し、失神したり心筋梗塞脳卒中を起こすことをヒートショックといいます。実はこれ結構な問題でして、ヒートショックで亡くなる人の推計は、年間1万9千人と言われています。交通事故者は年間3千人程度で年々減少しています。車関係は色々と対策が打たれ成果が出ていますが、住宅の浴室まわりはなにもされてないのが現状です。ユニットバス の高性能化は進んでいるのかもしれませんが、風呂場の中だけでなく、その前の脱衣室、廊下に温度差があってはダメですね。

日本は断熱に関して世界でかなり遅れをとっていますが、ヒートショック死者数も海外と比べ4倍以上多いそうです、、、

 

そういった空間を非暖房室から暖房室へ変えていくことが大切です。高性能住宅であればもちろんそういった問題はなくなりますし、一般住宅でもエアコンが脱衣室まで届くような改修提案をしてあげるのが良いと思います。

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新築で脱衣室に電気ヒーターをつけるところがありますが電気の無駄遣い、省エネの真逆、、、(ユニットバスの浴室暖房もエネルギーめちゃくちゃ喰うので要注意)

 

 

建物の高性能化でヒートショックは防げます。省エネ基準もまともに整備できないところを見ると国に期待はできないので、設計者が意識を持って頑張るしかありません!

より少ないエネルギーで快適に過ごせる住宅を設計するのはこれからもっと必要になってくるはずです。