いいものを使ったからといって
ウレタンっていう泡のやつ使ってあるからいいんでしょ?高断熱で。
という話を聞くことがよくあります。
実は、吹き付けウレタンの熱伝導率は高性能グラスウール 16Kの0.038[w/(m・k)]とかわらない。物質の熱の伝えやすさが熱伝導率なのでこの数値が小さければ断熱材としては高性能ということ。
弊社では耐力合板とネオマフォームが一体となったpjパネルを使いますが、ネオマフォームは熱伝導率0.02[w/(m・k)]。
どれが高性能なの?
物質の性能だけでいうとネオマフォームなどの「フェノールフォーム断熱材」といわれるものが一番で約0.02[w/(m・k)]
続いてスタイロフォーム、ミラフォームなどの「押出法ポリスチレンフォーム断熱材」が0.028〜0.036[w/(m・k)]。
高性能グラスウールやロックウールは0.036[w/(m・k)]、昔の住宅に使われていたグラスウール 10Kというやつは0.05[w/(m・k)]という性能になります。
ではどれを使えば高断熱なのか?
正解は、、、全部高断熱になり得ます。
熱を伝えないには断熱材をどのくらいの厚さで使うかが重要。
断熱材の性能に厚さを加味した数値で、「熱抵抗値(R)」があります。(「熱抵抗値」とは、物質の中の熱の流れにくさを数値化したもので、数値が大きいほど断熱性がよい)
pjパネルはネオマフォーム80mmなので
R=4.0(m2・K/W)
高性能グラスウール16Kを105mmで
R=2.76(m2・K/W)
吹き付けウレタンを80mmで
R=2.10(m2・K/W)
吹き付けウレタンだけでは、数値が小さいのがわかると思います。
ちなみに、グラスウール10Kを105mmで
R=2.1(m2・K/W)
吹きつけもグラスウール10Kが同じ数値になります。(吹き付けは壁の中目一杯までふくことができないため105mmの厚さがとれません。)
ちなみに、性能の低いグラスウール10Kを200mm施工することができればR=4.0で、最高性能のネオマフォーム80mmと同じ断熱性能をもたせることができます。
熱抵抗値は、(断熱材の厚さ)÷(断熱材の熱伝導率)で求めることができるので簡単です。
ネオマの場合
0.08(m)÷0.02(w/(m・k))=4.0(m2・K/W)
建物の断熱性能に、断熱材の厚さが大きく影響することがわかったかと思います!
ではなぜ、吹き付けウレタンがよいもの、高断熱、と思われているのでしょうか?
メーカーがそのように宣伝しているというのもあるかとは思いますが、一般住宅でほとんど行われていない建物の「気密化」が吹付を用いることで行われるからです。建物の隙間を塞いで隙間風が入らない建物ではエアコンの効きも断然違います。
吹付の住宅は性能は高くないけど、隙間も埋めれるから今までの住宅よりは体感的に暖かい。が正解なのかもしれません。
(気密施工を吹き付けだけに頼ってるので、時間経過とともにそれがポロッと剥がれれば昔の住宅と同程度に落ちてしまうのですが。)
改修の床下には気密化が一気にできる吹き付けはおススメです。その他に透湿抵抗などの性能値も関わってくるので適材適所、様々な断熱材をどのように使うかが大切ですね。